2014/11/30 自立指導成功塾最強コラムレポート[3]

 先日、某TV番組に、いわゆる「カリスマ講師」が登場し、生徒のモチベーショ
ン(学習意欲)を向上させるノウハウを披露していました。それを聞いて、私は
「なるほど~」と目からウロコが3枚剥がれ落ちたので、あなたとシェアしたい
と思います。

 そのカリスマ教師はマンツーマンで学習指導をするのですが、生徒が勉強を始
めると、わざと音を出したりして勉強の邪魔をすると言うのです。その理由につ
いての深い説明はなかったのですが、私なりに理解しました。

 私も覚えがあるのですが、「さあ、原稿を書こう」とパソコンに向かっても最
初はエンジンが掛からず、思わずネットニュースを見てしまったりします。ひど
い時は、そのまま1ページも筆が進まずに帰宅する日もあります。どうも興が乗
らないというか、集中できないのです。勉強を開始した生徒も同じなのではない
でしょうか。

 ところが、そばで机を叩いたり、コップを叩いたりして音を出す邪魔者がいる
と、「その音のために集中できない」と錯覚します。音が原因で自分が勉強に集
中できないと思っているわけですから、音がしなくなれば勉強に集中できる理屈
になります。人の脳は、こうした錯覚の支配下にあると言ってもいいでしょう。
その錯覚を利用しているのです。

 もともと生徒が集中できない時間帯にワザと音をたて、「自分が集中できない
のは音のせいだ」と錯覚させる。すると、音を出さなくなれば集中して勉強する
ようになる。結果的に、早く勉強に集中する、いわゆるゾーンに生徒を導くこと
ができるのです。

 以前も紹介したことがあるのですが、人は無音状態よりも多少の雑音が入る環
境の方が集中できるという研究結果があります。これも、雑音があることで、脳
が音を遮断しようという働きをする。その働きが集中力UPにつながるのでしょ
う。

 ここまで書いてきて、自立学習指導研究会理事である鈴木先生の指導方法を思
い出しました。1年前、私は次のような事例をニュースレターで紹介しました。

 (前略)鈴木先生は自塾を勉強道場(スタディ・ジム)と位置付け、教室内は
修業の場?と考えています。そのため生徒たちは、文字通り黙々と学習に励んで
います。多いときは一度に20人以上の生徒が教室で勉強しているのですが、それ
を鈴木先生一人で管理し、私語のない学習空間を保っています。あまりに静か過
ぎて硬直した空気を掻き混ぜるために、鈴木先生自ら緩和の工夫(頃合いを見計
らって雑談を挟む)をしているくらいです。

 以前は、いかに静かな空間を維持するかに苦心していたそうです。私語を許さ
ず、時には厳しい指導もしていたようです。しかし、それは生徒にプレッシャー
を与えるだけで効果的ではないと知り、今のようなスタイルに変更したのです。
ここにも大きなヒントが潜んでいます。

 どうしても個人塾の自立学習指導の場合、いかに私語を禁じ、静かな環境を維
持するかに視点が置かれます。しかし、そうした硬直した空間が生徒にとって居
心地がいいかと考えた場合、別の答が見えてきます。人は、図書館のような無音
の環境よりも、街の喫茶店程度の雑音が入る環境の方が、事務能率が高いことが
知られています。塾によっては小鳥のさえずりや水の流れる音をバック・グラン
ド・ミュージックとして教室に流しているところもあります。理論武装をした上
で、多少の雑音?を取り入れるのは「有り」でしょう。(攻略)
                      (ニュースレター2013.7月号)

 こうした手法は、生徒の集中力高める工夫として理に適っているのです。ただ
し、理論武装は必要です。多くの生徒・保護者は、無音状態の方が集中できると
勘違いしているのですから。