2015/1/3 成功塾最強コラムレポート[4]

かつて、教育産業は最も川下に位置し、景気動向の影響を受けない業種と言われていたものです。しかし、長引く不況はそうした「神話」さえも覆し、特にリーマンショック以降は苦戦を強いられている塾がほとんどです。加えて、少子化という構造的問題は解決の見込みがありません。この業界は、成熟期から衰退期へと移行しつつあるようです。

ところが、こうした悪条件が重なる中でも好調に業績を伸ばしている塾があります。例えば、震災の影響を正面から受けたはずの昨年上半期でも、いわゆる大手塾は堅調に推移しているという報告(私塾界1月号小林弘典氏)がありました。また、中小・個人塾でも、逆境を跳ね返して発展している塾があります。そうした塾に共通しているのは…「地域1番塾」だということです。

私が「2対8の法則」と呼ぶパレートの法則は、日本社会を猛スピードで席巻し、最も川下に位置する教育業界にも既に到達しています。今や、上位2割に位置しない者は市場からの撤退を余儀なくされる運命にあると覚悟しなければなりません。これは資本主義社会の自然法則です。かつてのように、右肩上がりの成長期は何の問題もありませんでした。市場が年10%ずつ成長している分野では、去年と同じことをしていても昨年比10%の売り上げ増が見込めました。護送船団方式が有効に働いていた時代です。しかし、縮小均衡に転換した日本社会では猛烈な勢いで二極化が進行します。上位2割に入ろうと合従連衡の再編成が進みます。以前は十数行あった都市銀行も、現在では3つのメガ・バンクに集約されました。製造業・小売業も同じ道を辿り、塾業界でもM&A、資本提携の動きが止まりません。全ては業界トップを目指す熾烈な争いの賜物です。

この業界で言うと、地域一番塾を目指す熾烈な争いに参加しない塾は淘汰されるという運命が待ち構えているのです。

具体的にお話しましょう。

かつて、塾を選ぶ基準の1番は「近い」でした。近くの塾に通うことが当たり前とされた時代です。拡大発展市場は言い換えると売り手市場ですから、新しい教室を開校すると、それだけで近所の子供たちが集まってきたものです。ところが、縮小均衡市場は買い手市場です。リーディング・ボードは消費者の手に渡ります。すると消費者は、数ある塾の中で「最も良い(相応しい)塾を選ぶ」という行動に出るようになります。それが地域一番塾に「客」が集中する原因です。

マーケティングの世界で言い古されている格言ですが、「日本一高い山を知らない人はいないが、日本で二番目に高い山を知っている人もいない」のです。同じ3,000m級の山は富士山以外に20もあります。それを全て知っているのは、よっぽどのマニアだけです。ほんの数百mしか違わない日本第2位の南アルプス北岳すら知っている人は稀でしょう。人は、知らないものを話題にすることはありません。

あなたの塾が、あなたの地域で1番であること、そして、それを目指し続けることが塾発展の必要条件なのです。

ただ、問題は何で「地域1番塾」を目指すかということです。大手塾はその規模(生徒数・合格数)で1番を標榜しています。それだけで地域の認知を得ることができます。今、大手塾が堅調に業績を伸ばしている理由がここにあります。言ってみれば、実に分かりやすいのです。中小・個人塾が今すぐ全体規模で大手と対抗するには無理があります。そこで、別のカテゴリーで地域一番を目指す必要が出てきます。我々は相撲では白鵬に敵いません。百戦百敗です。しかし、あなたの得意なテニスならばどうでしょう。あるいは水泳ならば勝てるという人もいるでしょう。ならば、相手の土俵に立たず、自分の得意なテニスのコートを作り、そこにテニス・ファンを集めるという戦略が有効なはずです。

地域の全ての人から「○○ならばあの塾だよね」と言われる塾を作ることです。この○○に入る言葉を決め、全てのエネルギーをそこに集約することです。そして、最終的には「あの塾は凄い!」という評判を作らなければなりません。

このメール・セミナーでは、地域一番塾を作るための手法をカテゴリー別に解説していきます。最初のカテゴリーは「面倒見の良さ№1」です。映像教材を導入している塾は、どうしても授業そのものに「面倒見の良さ」を注入することに無理が生じます。ややもすると、「ただ、映像を見せているだけ」と誤解されてしまいます。つまり、意識的に「面倒見の良さ」を構築する必要があるのです。

多くの塾経営者が自塾の特長を問われると「面倒見の良さ」を挙げますが、それは地域の人から認知されている特長でしょうか。「面倒見の良さならあの塾だよね」と言われていますでしょうか。そうした評判を実際に作っている塾は何を実践し、それをどうアピールしているのでしょう。次回から具体的な事例を紹介しながら解説していきます。よろしくお付き合い下さい。(了)