2014/12/3 成功塾最強コラムレポート[3]
 個別指導・自立学習指導の経営者は、フィールド・マネジャーとゼネラル・マ
ネジャーを兼務しなければなりません。フィールド・マネジャーとは現場監督の
ことです。日本のプロ野球の監督は全てフィールド・マネジャーです。塾業界で
言えば教室長がそれにあたります。フィールド・マネジャーの役割を象徴的に言
えば、「目に見えるもの全てに責任を持つ」=戦術です。教室内の「目に見える
もの」と言えば、生徒はもちろん、講師・教材・設備・清掃・整頓・美化…挙げ
るとキリがなくなります。それを、ほとんどの方がプレイング・マネジャーとし
て行っていることでしょう。自らも講師として教えながら教室長業務も行なって
います。

 そのため、どうしてもフィールド・プレーヤーとしての任務に意識が取られ、
フィールド・マネジャーとしての仕事が疎かになります。ここに大きな問題があ
ります。ましてや…

 ゼネラル・マネジャーとしての役割まで完全にこなすことなど、望むべくもあ
りません。ゼネラル・マネジャーの役割を象徴的に言えば、「目に見えないもの
全てに責任を持つ」=戦略です。私が多用する言葉で表現すれば、フィールド・
マネジャーの仕事=戦術=判断であり、ゼネラル・マネジャーの仕事=戦略=決
断ということになります。
 
 目に見えないものの代表が予算であり、人事であり、教育です。1人で運営さ
れている個人塾に「人事」「予算」は関係ないようですが、ご自分の力量を向上
させる自己教育は重要です。

 これは、集団・個別・自立のカテゴリーに関わらず、多くの中小・個人塾の経
営者に共通して言えることですが、自己投資があまりに脆弱。あなたはいったい、
年間何冊の本を読んでいますでしょうか。教育に携わる者ならば、せめて40冊程
度は読んでほしい。教育書・経営書はもちろん、小説や趣味の本でも構いません。
いわゆるインプットがなければアウトプットは出来ないのは道理です。

 ましてや、社員やバイトを採用しているのに、そこに教育(研修)を施さない
のは「客」に対して無責任です。それで、繁盛店を作ろうというのは無理な相談
です。居酒屋甲子園を見ても、繁盛している店では例外なくスタッフの研修が充
実しているものです。ましてや塾は、客とスタッフがダイレクトに接する究極の
アナログ・ビジネスです。人が全てと言っても過言ではありません。

 よく、「いい人材が来ない」と嘆く経営者がいますが、待っていたのではいつ
までも運任せです。いい人材を育てる覚悟が必要です。バイトでも、せめてエラー
はさせない程度の教育は不可欠でしょう。

 私が塾の建て直しに入る時、最初にお願いするのが「広告宣伝費の枠を決めて
ください」ということです。本当は全ての項目について予算を設定してほしいの
ですが、最低でも私が関わる分野に関しては必要です。その予算の範囲内で出来
る最大限の方策を私は考えます。

 理事の鈴木先生を支援した時もそうです。限られた予算内に収めるためコピー
用紙も大量買いし、事務所の輪転機を回しました。

 よく、「いえ、それで塾生が増えるのでしたら、予算はいくらでも…」と言わ
れる経営者がいますが、そうした経営者とは一緒に仕事ができない。だいたい、
「それで塾生が増える確証」など誰も持っていません。最大限の努力はしますが、
広告宣伝だけでバラ色の未来を約束できるほど、私はノー天気ではありません。
また、そうした経営者は上手く行かない時に、決まって「森が言った通りに宣伝
したが効果はなかった」と、責任転嫁するものです。他者責任(依存)でビジネ
スをする者に、成功は訪れません。

 予算は覚悟の発露であり、最大効果を求めるためには絶対に必要な数字です。
それを考え、実行するのもゼネラル・マネジャー(経営者)の仕事です。

 経営者=戦略、教室長=戦術とすると、教師(フィールドプレーヤー)の役割
は「戦闘」ということになります。この、現場での戦闘力を向上させるための教
育(研修)が不可欠です。

 ところで、現場教師はトレーナーでしょうか、コーチでしょうか?どちらも指
導者の意味で使いますが、当然、別物です。

 コーチは、ブランド名にもなっていますし、そのロゴも有名ですから元々の意
味はご存知だと思います。馬車です。それに対してトレーナーは?…英語で書け
ば一目瞭然ですね。そう、train-er、列車です。

 つまり、トレーナーとは「決まった目的地に連れて行く人」であり、コーチと
は「客が望む目的地ならどこへでも連れて行く人」という意味があるのです。

 「講師たちにどちらを求めるのか」は、あなたの裁量です。また、単なる「言
葉遊び」をしても意味はありません。しかし…上記の説明をした後で、「だから
君たちはトレーナーではなくコーチになるのだ」(もちろん逆でもいいですよ)
と言えば、あなたの主張に力が宿ります。そして…

 そうした話をすることが「教育」であり、あなたがゼネラル・マネジャーとし
て行うべき仕事の一つです。エネルギーに満ちた教室の源泉は、あなた自身なの
ですから。