2014/9/29 長谷川の教育論[1]
 
世界で最もクリエイティブな国は日本――。外国人に日本製品や日本文化について尋ねたところ、自動車や電気製品だけでなく、日本のアニメやファッション、日本食などクリエイティブ産業の人気が高く、いずれの評価も上位にランクされることが、電通がまとめた「ジャパンブランド調査2014」でわかった。音楽やファッション、映画など時代の先端を切る文化的な産業で、「最もクリエイティブな国はどこか」を尋ねた米国系企業の調査でも、日本が米国、英国、ドイツ、フランスを抑えて1位になったという、日本人ならちょっと驚きそうなデータもあり、この分野で外国人の日本への関心が高まっているのは間違いない。
 以上は最近報道されたニュースだ。長い間、「日本は欧米の真似ばかりをして独創性がない」と批判されてきたことを思うと、隔世の感がある。いろいろな理由が考えられるが、その一つに「本物に触れる機会の増加」があると考える。
 かつての日本人にとって、外国は遠い世界だった。テレビを通してしか知ることのない別世界、それが外国だ。ところが今、日本人は気軽に海外旅行へ行く。小学生のうちから家族旅行でグアムだ、ハワイだと行くことも珍しくない。ブラウン管という狭い世界を抜け出して、本物と触れ合うことができる。
 私にも覚えがある。初めて富士山を間近に見た時は心が震えた。それまでもテレビや写真で富士山を見たことは何度もあったが、本物の富士山の雄大さ、美しさは圧巻だった。心が揺さぶられて、もし、自分が芸術家だったら、大きなイマジネーションを持ったことだろう。それは本物の桜島を見た時、本物の東寺を見た時も同じだ。
 現代はネット社会である。どんな情報もクリックひとつで入手できる。そのため、多くの子どもたちが「知っているつもり」になる。しかし、どんな映像も本物には敵わない。ぜひ子供たちには、本物に出会う機会を多く持ってほしい。それが「クリエイティブ日本」であり続けるために必要なのだ。