2015/5/10 成功塾最強コラムレポート[8]

 「面倒見の良さ」をアピールする要素は、授業の中だけでなく周辺にデコレートすることが必要です。授業の中だけでは「そんなの当然でしょ」と思われておしまいだからです。

 ある塾の取り組みです。その塾は毎日、生徒・保護者に対してメルマガを発行しています。今、どの家庭にもパソコンはありますし、誰もが携帯を持っています。内容は「たいしたことのない話」で充分です。大事なことは「毎日続ける」という継続性です。「面倒見の良さ」は継続性の中で認識されるものです。

 例えば、1年365日全てに「誕生花」が設定されています。「4月1日はカスミソウの日」といった具合です。そうした情報を花の写真、花言葉とともに送るのもいいでしょう。あるいは、あなたが感銘を受けた著名人の名言を一日ひとつ伝えるのもいいでしょう。繰り返しますが、重要なのは内容以上に継続性です。

 次に考えたいのがワン・ツー・ワン・マーケティングです。人は誰でも「私だけ」を喜びます。誰もが持っている「私だけ」にフォーカスします。代表的なのは「名前」と「誕生日」です。

例えば社長から「おい、君!」と二人称で呼ばれるのと、「山田君!」と名前で呼ばれたときの「山田君の心情」を想像してください。名前は誰にとっても固有のビューティフル・ネームです。教室に来た生徒に声を掛けるにしても、単に「おはよう」ではなく「山田君、おはよう」とすることでコミュニケーション効果は倍増します。実際に、「声掛けに名前付」を実践している塾は、例外なく教室内の雰囲気が良くなっています。また、スタッフに生徒の名前を覚える習慣が身に付くので、クラス・マネジメントも格段にスムースになります。

誕生日も「私だけの特別な日」です。生徒の誕生日に届くように、バースデイ・カードを送りましょう。前述の誕生花の写真と花言葉を添えるのも良いアイディアですね。

こうした取り組み、ひとつひとつは微力です。それだけで評判を作り、生徒を増やす効果は薄いでしょう。しかし、それを幾重にも重ね、継続して実践することで「面倒見の良い塾」の評判は作られます。ある意味、塾の姿勢が問われているのです。

これも実際にあった例です。ある塾が春期募集時に紹介カードを配りました。どの塾でも行なっているキャンペーンです。「友人紹介に図書券○○円分を差し上げます」と特典を付けていました。すると後日、とある母親から電話が入りました。

「実は主人が塾からの案内を見て、『こんな、子どもをモノで釣って営業マンみたいなことをさせる塾、辞めさせろ』と激怒して…私や子どもは理解しているのですが、主人は頑固で…どうしましょう」

ここで、いくら紹介制度の意義を説明しても無意味です。母親は充分に理解してくれているのですから。最良の方法は、父親の帰宅を待って直接訪問し、じかに説明することです。それ以外に父親の誤解を解く方法はないでしょう。

こうした場面でも「塾の姿勢」が問われています。人は感情の動物です。誤解を解くのは「理屈」ではありません。行動で表される「あなた」の姿勢そのものです。志望校に不合格だった生徒の家を一軒一軒、お詫びに回る塾長さんがいます。これも「姿勢」の問題です。そして重要なことは…

こうした「姿勢を行動で表している塾」が、例外なく「面倒見の良い塾」の評判を作っていることです。なぜなら、「面倒見の良さ」そのものが本来、抽象的概念だからです。

「面倒見の良い塾」を作り上げるためには、具体的「形」として小さな積み重ねを継続することと、抽象的な概念である「塾の姿勢」を見せることの両面が必要になってくるのです。